最新情報 | 理事長挨拶 | 役員 | 会則 | 入会申し込み | お問い合わせ
日本生殖工学会設立(生殖工学研究会の改組)の趣旨 | SRE/SSRE シンポジウム・ワークショップ
JRE編集委員会 | Journal of REPRODUCTION ENGINEERING (JRE) | JRE投稿規定/JRE Instructions to Authors
2010/03/21
更新
日本生殖工学会設立(生殖工学研究会の改組)の趣旨
生殖殖工学の定義としては、動物における個体発生を人為的に修飾して正常発達や有用個体の発生ならびに、種の保全と生まれてくる生命の保全の促進を目的として、生殖細胞,生殖系列細胞,生殖幹細胞、生殖器官、組織のみならず一般組織に加えられるのに必要な人為操作の理論や,開発ならびに、その適用について考究する学問領域であると考えられる。そして、この生殖工学においては、個体発生を修飾させるために、生殖細胞、生殖関連細胞、組織ならびに初期発生期胚など、必要に応じて他の一般組織の細胞を含めての比較的限定された器官、細胞群、さらには細胞内小器官、などを標的とした主要な人為操作;すなわち、(1)培養法(組織、器官培養を含む培養システムなど)、保存法(組織、器官の超急速凍結保存なども含む)および顕微操作{細胞内小器官、例えば核除去および移植などへの精緻な顕微手術操作システムを含む}および遺伝子解析と操作に関する遺伝子工学の適用の研究と開発、また(2)これらの操作の効率的な組み合わせ適用による動物生産、更には、(3)細胞核の初期化、特にエピジェネテイックなDNAの初期化により得られる成果の生殖工学研究への適用、などが重要な検討課題となっている。
この様にして生殖工学研究で得られた成果は、最終的には、体外受精を含む人工授精や胚移植を経由して初めてその目的が達成されることになる。例えば、最近の会員により達成された成果であるクローントランスジェニック家畜の生産、産子の人為的性支配、そして造精不良精巣からの細胞群を、他動物種に移植する方法を利用した受精可能精子の生産についても、この操作適用の例外ではない。この様にして、生殖工学における、基幹技術としての人工授精と胚移植の研究ならびに進歩の重要性は、今もなお新鮮で揺るぎないものである。そして、研究成果の実用への適用についてのstrategyおよび生命倫理について十分な検討がなされるべきである。なお、人工血液の開発、免疫、培養などの技術の発達、各種超小型高性能センサーの開発、そして前記エピジェネテイックなDNA の初期化の成功などの最近の情報は、母体外での胚、胎児の発達を目指すための人工胎盤、人工子宮の開発も生殖工学の超長期の研究課題となり得ることを示唆している。
これまでのおよそ10年間の生殖工学研究で得られた成果は、すでに1997年に設立された生殖工学研究会の今日までの活動を通して[SSREシンポジュウムのテーマ;JRE vol.10、418-420 、(2007)参照]、生殖生物学、生殖医学、再生医学、そして、遺伝資源保全を含む環境生物学などの研究分野に対して、基本的且つ重要な研究手段を提供して、これらの分野の学術進展にも寄与してきた。
上記の生殖工学の重要性に鑑み、会員の研究促進と、研究成果のより活発な発表と研究情報の収集ならびに交換を、そして研究協力を強力に促進することにより生殖工学の学術の更なる発展を図る為、多くの会員から既存の生殖工学研究会を改組して新しく学会組織にするべきとの提案がなされてきた。今回、新しく会員、役員として参加された医学領域の会員,特に臨床医の会員諸氏の、これを支持するとの意見をも参考にして、これまで活動してきた生殖工学研究会SSREを発展的に改組して、そのSSREを母体とした日本生殖工学会を2010年3月に設立することにした。この設立学会では主要な活動として,シンポジウム/ 年1-2回の開催,必要に応じて,ワークショプの開催、そして,英文機関誌;Journal of Reproduction Engineering(JRE)1-2号/年発行(一部は電子出版の配布)する計画である。なお、JRE投稿原稿には枚数制限を加えず、研究の motivation ならびに独創性を最優先した編集方針を採り、自由で活発な発表の場にすることにした。このような諸活動を通じて、本会は生殖工学学術の進歩を図り、得られた成果、情報の発信,伝達を強力に行うことにより上記関連学会の発展にも寄与せんとするものである。
なお、本学会が将来に十分にその目的が達成された暁には,その存続の意義を遅滞無く会員に問い,会員の意志による解散あるいは、関連他学会との合併の有無などを決定する。但し,現時点では,すでに本会の母体であるSSREが過去11年間に亘り開催したシンポジウム、ワークショップ等の活動の内容、実績は生殖関連の基幹学会としての本会の重要性を揺るぎ無きものにしている。
発起人
尾川 昭三 (明治大学名誉教授・生殖工学研究会顧問)
鈴木 秋悦 (東京生殖バイオロジー東京シンポジウム)
猪 貴義 (岡山大学名誉教授・動物遺伝育種学会名誉会員)
柏崎 直巳 (麻布大学)
竹島 勉 (生殖工学(研)会会長・ヒューマンサイエンス振興財団)
秋山 清 (神奈川県畜産技術センター)
石川 孝之 (京野アートクリニック)
石塚 文平 (聖マリアンナ医科大学)
伊藤 潤哉 (麻布大学)
乾 裕昭 (乾マタニティクリニック)
牛島
仁
(日本獣医生命科学大学)
大塩 達弥 (東京ベイレディースクリニック・日本大学)
大月 純子 (永井クリニック)
菊地 和弘
(農業生物資源研究所)
後藤 正幸 (明治大学)
竹下 直樹 (東邦大学)
多田 昇弘 (順天堂大学)
古井 憲司 (クリニックママ)
森本 義晴 (IVFなんばクリニック)
吉田 仁秋 (吉田レディースクリニック)
木崎 卓平 (元明治大学)
林
克彦
(京都大学大学院)
2010年3月